ブリリアントな魔法/宮脇ゆきの先生
今回は『ちゃお』で連載していた『ブリリアントな魔法』(以下『ブリマジ』)について綴っていきます。
『ブリマジ』はメイクで変わる女の子のお話
▼概要・あらすじ
・タイトル:ブリリアントな魔法
・作者:宮脇ゆきの 先生
・掲載:ちゃお(2001年6月号~2001年11月号、2002年2月号~2003年1月号)
・単行本:全3巻
主人公の美月は年齢よりも幼く見られることが悩み。
15歳の高校生にもかかわらず、小学生に間違われることも。
ある日、美月は街でかっこいい男の子に「モデルをやらないか?」と声を掛けられ、ヘアメイクで憧れの大人っぽい女の子に変身。
美月を変身させてくれたのは同級生の淳希だった。
そして美月は淳希の手によって変身した「メイ」の姿で、淳希の姉のショップのイメージモデルを務めることに。
美月は「メイ」の姿でアイドルの響と出会い、その後お互いに惹かれていくが……。
▼主な登場人物
・藤川美月(ふじかわ みつき)
15歳の高校1年生。友達には「どんぐりまなこ」「まぁるいほっぺ」「くるくるヘアー」「肉付きのよくない体」と言われ、街を歩けば小学生モデルにスカウトされるほど幼いルックスを持つ。淳希のヘアメイクによって「メイ」に変身してモデル活動を行う。
・廣崎淳希(ひろさき あつき)
美月と同級生。学校では女嫌いの優等生として有名で、「氷の王子様(プリンス)」と呼ばれる。校外では美月のヘアメイクとして活動。
・真島響(ましま きょう)
雑誌にCMに活躍するアイドル。美月、淳希と同い年。「メイ」の正体を知らないまま仕事を共にし、次第に「メイ」に惹かれていく。
『ブリマジ』の感想
宮脇先生の絵柄もストーリーも、当時のちゃおの中ではだいぶ大人っぽかったですよね。
絵が綺麗で丁寧なので、読みやすさもあります。
「メイクで大人っぽくなる」って、女の子の憧れですよね…!
淳希が美月にメイクするシーンではコスメの絵が散りばめられていることが多いのですが、当時の私はこの表現が大好きでした。
メイクで変わった美月は本当に可愛いです。
もちろん素の美月も可愛いですが、物語の中で美月は切ない表情が多い印象。
メイは淳希や響くんの力によって引き出される明るさや心からの笑顔でより可愛く見えるのです!
『ブリマジ』の見どころはなんと言っても美月、淳希、響の三角関係。
個人的にはなんとなく淳希と結ばれるんだろうなという読みはあったのですが、宮脇先生はどちらとくっつくのか決めていない状態で描いていたみたいです。
美月がどちらを選ぶのかがわからない状況は、物語の終盤のほうまで続きます。
美月はグイグイな響くんに日に日に惹かれ、淳希は響くんに心を奪われる美月を静かに想い、響くんは愚直に美月に気持ちを伝えます。
美月のいないところで淳希と響くんが美月への想いをぶつけ合うシーンがあるのですが。
これ美月の立場だったらめちゃくちゃ嬉しいですよね。笑
美月が響くんを想っているとき、一緒に撮影した写真をカードケースに挟んで下敷きにしています。
これ私も小中学生のときにやったな~。笑
最終的には「メイ」ではなく「美月」の姿を見つけてくれた響くんよりも、「美月」を「メイ」に変えてくれる淳希を選んだ美月。
淳希の気持ちを知らない美月は、片想いを覚悟して響くんに別れを告げます。
響くんは「想いの届かない奴なんかやめちまえよ」と言いますが、美月は「好きになってもらうために淳希のこと好きになったんじゃないから」と返します。
この言葉…小学生に間違われるような女の子が言えますか……。
私は淳希派なのですが、響くんとのサヨナラのシーンはちょっと心が痛みました。
美月が観覧車を降りたあとの響くんの虚ろな目……。
でもその後の響くんの淳希へのメッセージ!あんた漢だよ!!
最終回の美月と淳希が抱き合うシーン。
ここで映るのは主人公の美月ではなく、淳希の顔です。
そして「つかまえた」というセリフ。
これも美月ではなく、淳希のモノローグです。
あえて淳希側の表情と気持ちが描かれたこのシーン、本当に大好きです。
美月はその後 淳希とどうなったのかなぁ。
淳希はもう少し素直に美月に気持ちを伝えてほしいなぁ。
響くんが報われてほしいなぁ。
と思う人がいましたら!!
宮脇先生の1/2シリーズ④の『1/2セレモニー』には、三人のその後が描かれた番外編『セミスイートな魔法』と『ハーフビターな魔法』が収録されています。
『ブリリアントな魔法』ファンの方はこちらもぜひ…!
でも響くんは自分が幸せになる前に民度の悪いファンを教育してくれ…!
私が初めて『ブリマジ』を読んだ話では、響くんのファンの女の子が美月に「とっとと消えな!」って言ってビンタしようとしているシーンがあって衝撃でした。笑
当時『ブリマジ』は連載途中から読み始めたので、私は美月とメイの関係性がよくわからず、完全なる別人だと思っていました。
小学生の私はあらすじを読まない子だったようで……。
連載終了後にコミックスを買って1から読みました。
今でも大切に持っています。
ちなみにこの作品の連載中、宮脇先生は右手の負傷で休載を挟んでいます。
手術を乗り越えて作り上げた『ブリリアントな魔法』。
きっと宮脇先生的にも思い入れのある作品なのではないかと勝手に思っています…!
最後に
メイクで自分自身も人生が変わるという設定。
ファンタジーやミラクル的なものではないのでどこか親しみがあり、子どもの頃は『ブリマジ』を読んで「私もメイクしてみたい!」とずっと思っていました。
その後、中原杏先生の『オトナになるもん!』、あらいきよこ先生の『ビューティーポップ』、にしむらともこ先生の『極上!!めちゃモテ委員長』などを読んでさらにメイクしてみたい欲が高まりますが、結局メイクをちゃんとするようになったのは高校生からです。笑
今は当たり前にメイクする年齢になってしまいましたが、『ブリマジ』はメイクに憧れを抱いていた当時の気持ちを思い出させてくれる素敵な作品です。