ミルモでポン!/篠塚ひろむ先生
今回は『ちゃお』で連載していた『ミルモでポン!』(以下『ミルモ』)について綴っていきます。
『ミルモ』はアニメ化もした大ヒット作品
▼概要・あらすじ
・タイトル:ミルモでポン!
・作者:篠塚ひろむ 先生
・掲載:ちゃお(2001年3月号、2001年9月号~2006年1月号)
・単行本:全12巻
主人公・楓は同じクラスの結木に恋をする。
ある日、母親がお土産に買ってきたマグカップの中から妖精ミルモが登場。
ミルモは楓の恋を叶えるべく、さまざまな魔法を使って奮闘するが…!?
2001年から小学館発行の『ちゃお』で連載がスタート。
2002年には『ちゃお』創刊25周年記念としてアニメ化され、当時の『ちゃお』の代表的作品となった。
▼主な登場人物
☆人間
・南楓(みなみ かえで)
中学2年生。少しドジだが優しく一途な性格。片想いする結木に話しかけることもできないでいたが、ミルモとの出会いをきっかけに距離が近付く。
・結木摂(ゆうき せつ)
中学生2年生。成績優秀で運動神経もよい。クールでいつも本を読んでいる。将来の夢は小説家。
・日高安純(ひだか あずみ)
中学生2年生。美少女だが性格はかなり凶暴。結木に片想いをしており、何かと楓の邪魔をする。
・松竹香(まつたけ かおる)
中学生2年生。お金持ちで女子人気も高いが、実は甘えん坊の泣き虫。楓に片想いをしており、結木に片想いする安純と結託することも。
☆妖精
・ミルモ
楓のもとに召喚された妖精。短気でワガママな性格だが、涙もろく情にアツイ。魔法に使う楽器はマラカス。好物はチョコレート。
・リルム
結木のもとに召喚された妖精。女の子らしい性格だが、頭に血がのぼると我を忘れて暴力的になる。魔法に使う楽器はタンバリン。好物はシュークリーム。
・ヤシチ
安純のもとに召喚された妖精。パンツが好きな変態忍者で。ミルモを適視している。魔法に使う楽器はトライアングル。好物はかりんとう。
・ムルモ
松竹のもとに召喚された妖精。ミルモの弟で、腹黒いぶりっ子。魔法に使う楽器は小太鼓。好物はマシュマロ。
『ミルモ』の感想
『ミルモ』はアニメ化もされたので知っている方が多いのではないでしょうか。
私の地元では日曜日のお昼に放送されていました。
ミルモがやってる間は『ちゃお』のCMが流れていたので、それを観るのも楽しみだったなぁ。
ちゃっちゃっちゃっちゃっ
ちゃちゃちゃちゃ~
ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ~お♪
『ミルモ』は、主人公を含む周りの人間と恋の妖精たちがパートナーとなって話が進んでいきます。
篠塚ひろむ先生の作風が確立されたのも『ミルモ』があってのものだと思います。
今思えば、当時のちゃおは『きらりん☆レボリューション』のきらりとなーさん、『極上!!めちゃモテ委員長』の未海とテモテモなど、「主人公+可愛いキャラクター」という組み合わせが多かったかもしれません。
登場人物は人間も妖精もキャラが濃すぎて、主人公の楓の存在が霞みます。笑
篠塚先生のキャラの発想と作り込みってすごいですよね。
実は本編に登場していない妖精もたくさんいるのですが、ちゃんと一人一人個性的なキャラ付けがされています。
ちなみに私は安純とヤシチが好きです。
ヤシチは安純のパンツを漁るし、安純は容赦なくヤシチをトイレに流しますが、意外にもお互いを想い合っているんですよね。(伝わらない)
『ミルモ』は、ギャグ、ファンタジー、恋愛…それぞれがよいバランスで組み込まれている作品です。
ミルモたちは恋の妖精というだけあって、主人公たちの恋を魔法で手助けしてくれます。
もちろん一筋縄ではいかないこともあり、コメディ要素が強めになるお話が多いですが、恋愛のほうも確実に話は進んでいきますよ。
安純とヤシチにめちゃくちゃにされた楓の誕生日会のあと、結木が楓にブレスレットをプレゼントするお話があるのですが、「好きな男の子がプレゼントをくれるなんて…!」と、当時の私はこのシーンにとてもキュンとしていました。
楓のブレスレットがなぜかうらやましくなって、自分で似たものをビーズで作った覚えがあります。笑
以下、ネタバレを含みます。
ある日、妖精界の里の王子であるミルモは、楓と別れて妖精界に戻ることを決意します。
ミルモがいなくなっても気丈に振る舞う楓ですが、結木は楓に元気がないことを察します。
優しい結木に楓は思わず大泣き。
そんな楓に結木がかける言葉…見どころです。
ちなみにミルモは人間界に戻ってきますよ。
めでたく楓と結木は両想いとなり、無事にお付き合いをすることに。
そのことを知った安純は、楓と自分のどちらが結木への想いが強いのかを確かめるべく、決闘を申し込みます。
安純はこれまで幾度となくヤシチに魔法を使わせて楓の恋路を邪魔してきました。
しかし、今回は陰湿なことはせずに正々堂々と勝負に臨みます。
結果的に安純は負けてしまうのですが、ヤシチが「なぜ今日は卑怯な手を考えなかったのか」と問うと、「私のほうが結木くんのことを好きな自信があったから」と答えます。
静かに涙を流す安純を見て、「ちゃんと結木のことを真剣に想っていたんだ」と感じ、当時の私も泣いてしまいました。
篠塚先生の描写が感動を誘うのですよね…。
あ、でも楓に失恋した松竹に対しての涙は出なかったです。
松竹はギャグ要員ですね。笑
個人的に安純は住田(5巻から登場)とくっついてほしいなぁと思ったり思わなかったり。
コミックスは全12巻となっており、番外編がとても充実しています。
私のお気に入りは5巻に収録されている番外編。
ムルモのお話と、ヤシチと子分(サスケとハンゾー)のお話です。
後者は安純が感動で泣いてしまうくらい心が温まるストーリーなのでおすすめ。
あれ。私って泣いている安純が好きなのかしら。
話が逸れますが、作中に登場している「くもっちょ」というミルモが食べていたわたあめのお菓子が過去にスーパーなどで発売されました。
私も小学生のときに一度食べましたが、香りはバナナで味はチョコ。
「甘い」ではなく「甘ったるい」という感想…。
ほかにも食べた覚えがある人いますかね。
最後に
この作品は2001年に読み切りとして掲載されましたが、読者からの圧倒的な人気で連載という形になったものです。
2001年から2005年にかけて連載され、『ちゃお』の代表作として多くの子どもに愛されてきました。
2021年に連載開始20周年を迎えるにあたり、明日3月13日(土)から3月30日(火)まで、池袋P'PARCO3階の「THEキャラSHOP」にて『ミルモでポン!』の期間限定ショップがオープンされます。
篠塚先生の描き下ろしイラストを使ったグッズにも注目です。
私も時間ができたら行きたい…!
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この作品の設定自体は「主人公の恋を妖精が叶えてくれる」という王道なものですが、読み進めていくうちにキャラやストーリーの魅力に引き込まれます。
連載は5年という意外にも短い期間ですが、根強く印象に残り、読者の心を充実させる不思議な力がある作品だと感じます。
また、この作品は「このシーンが好き」「ここを見てほしい」というポイントが多すぎるので、いつか一巻ごとや一話ごとに記事を書いてみたいとも考えています…。
今のちゃおっ娘の篠塚先生のイメージは、『ミルモでポン!』より『ちび☆デビ!』のほうが強いのでしょうか。
『ミルモ』を知らないのはもったいない!
「名前だけなら知ってるけどマンガもアニメも観たことない」という大人の方にも、是非読んでもらいたいです。